深夜1時のラブレター
ほまれに会いたい。
それは、もう私自身に問い掛けるまでもなく。
――――でも。
ほまれは、彼自身の意志で私の傍から離れて行った。
きっとこうなることを分かっていて、それでも1ケ月という時間を一緒に過ごして、お互いに惹かれあって。
幸せな思い出だけを持って、離れて行ったんだ。
「ほまれは、私に会いたくないかもしれない」
「どうしてそう思う?」
「だって、そうじゃなきゃあんな別れ方……」
「あいつはあいに悲しんで欲しくなかったんじゃないか?」
「そんなの!」
悲しむに決まってるじゃない。
いきなり居なくなって、形跡すら残さなくて。
ほまれにとって私は必要な存在じゃなかったんだ、って。
そう思っちゃうじゃない?
それに私は、りゅうじさんと……、
「俺に結婚しようと言われたことを気にしてるか?」
「え?」
「馬鹿だなぁ、あいは」
「りゅうじさん」
「大事なのは自分がどうしたいか、だ。俺に言われたことや、あいつの言動とかそんなの気にしないで、自分のしたいことをすればいいだろ」
だけど、俺のことも忘れないで。
弱く呟くようにそう言ったりゅうじさんは、私の頭を優しく撫でてから仕事に戻って行った。
好きだという気持ちを隠しもせずに、私を慕ってくれたほまれ。
心の奥底で私を愛しながらもそれは見せず、だけどいつも守ってくれていたりゅうじさん。
どっちも大事で、どっちも私にとって支えとなる存在だった。
そのどちらかを選ぶなんて――――。