白鷺の剣~ハクロノツルギ~
大坂って、私が知ってるあの『大阪』だよね?!
岡田以蔵は今、大阪にいるの?
私は女将さんにはい、と返事をしてタスキを受け取りながら考えを巡らした。
……気が荒い浪士。
「あの、女将さん、今って文久二年ですよね?」
女将さんは私を不思議そうに見た。
「そうさ、文久二年七月末だよ。あんた、二階の北側の部屋をお使いよ」
「ありがとうございます。お世話になります。あの、二階のお座敷を見せていただいてもいいですか?」
「ああ、構わないよ。二階の座敷は、夜しか客を通さないからね、今は誰もいないよ」
……良かった、文久二年は最初に私が白鷺と出会った年だ。
季節的にも合ってる。
私は二階の北側の部屋へと向かいながらはめ殺しの窓の外を眺めた。
幅の広いこの川に架かる橋には沢山の人々が行き交っていて、その人々をよくよく見ると商人らしき人、観光客のような人、帯刀した武士のような人と様々だ。
私は少し唇を噛んだ。
……どうやって岡田以蔵を探そう。
やっぱり、店に来た客から情報を収集した方がいいかな。
何だか凄く嫌な予感がする。
私の喉元に懐剣をピタリと当てた岡田以蔵の、悲壮な顔を思い返した。
『それでも俺は……進まなきゃならないんだ』
彼の言う『進む』というのは……分かる。
彼は心から慕う武市半平太の為に人を斬るのだ。
岡田以蔵は今、大阪にいるの?
私は女将さんにはい、と返事をしてタスキを受け取りながら考えを巡らした。
……気が荒い浪士。
「あの、女将さん、今って文久二年ですよね?」
女将さんは私を不思議そうに見た。
「そうさ、文久二年七月末だよ。あんた、二階の北側の部屋をお使いよ」
「ありがとうございます。お世話になります。あの、二階のお座敷を見せていただいてもいいですか?」
「ああ、構わないよ。二階の座敷は、夜しか客を通さないからね、今は誰もいないよ」
……良かった、文久二年は最初に私が白鷺と出会った年だ。
季節的にも合ってる。
私は二階の北側の部屋へと向かいながらはめ殺しの窓の外を眺めた。
幅の広いこの川に架かる橋には沢山の人々が行き交っていて、その人々をよくよく見ると商人らしき人、観光客のような人、帯刀した武士のような人と様々だ。
私は少し唇を噛んだ。
……どうやって岡田以蔵を探そう。
やっぱり、店に来た客から情報を収集した方がいいかな。
何だか凄く嫌な予感がする。
私の喉元に懐剣をピタリと当てた岡田以蔵の、悲壮な顔を思い返した。
『それでも俺は……進まなきゃならないんだ』
彼の言う『進む』というのは……分かる。
彼は心から慕う武市半平太の為に人を斬るのだ。