白鷺の剣~ハクロノツルギ~
「柚菜というらしいな」

内心ギクリとしたが、私は男性を見て少し笑った。

「はい」

なんか嫌な予感がするんだけど。

うす暗い部屋に男性と二人きり。

敷かれている一組の布団。

私は男性に一杯だけ酒を注ぐとフワリと微笑んだ。

「では、私は仕事がありますのでこれで失礼いたします」

一刻も早く、ここから出たい。

「待て」

立ち上がろうとした私の腕を男性が掴んだ。

「きゃあっ」

強く引かれてバランスを崩し、私は男性の胸の中へ強引に抱かれた。

「お前の仕事は俺の相手だ」

男性は私を至近距離から覗き込むとニヤリと笑った。

「ちょっと待ってっ!あの、私はそういうのじゃなくてっ」

焦る私をものともせず、男性は私を布団の上に組敷くと帯に手をかけた。

「女将は二つ返事だったぞ。ただ柚菜は上玉だから二倍の値だと言われたがな」

う、嘘でしょ、なにそれ?!

「あの、やだ、待ってっ」

「焦る顔がソソられるが……俺は待つ気はない」

「きゃああっ!」

そう言うや否や、男性は片手で私の両手を束ねて持つと、空いている手で着物を荒々しくはだけさせた。
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