白鷺の剣~ハクロノツルギ~
なんですって!?

思いもかけない神様の暴言に私が眼を見張ると、ミカヅチ様は悪びれる様子もなく口を開いた。

「俺の剣に眼もくれず、白鷺の脇差に夢中とは……無礼な女だ」

黒曜石のような、硬度の高い石のような瞳が、射抜くように私を見つめている。

私は慌てて一歩下がった。

「見たかったんですけどその、」

……危ない、神剣に興味がないとは言えないし……。

「なんだ」

「えっと、は、は、は、白鷺の日本刀があまりにも美しくて」

「やっぱり無礼な女だ」

「すみません……」

……そういやミカヅチ様は、私が白鷺の日本刀に夢中だって、どうして分かったんだろう。

私が白鷺と呼んだから?

「あの、ミカヅチ」

「テメェ、敬う気はねーのか」

いや、それよりも。

「あなたは何の神様ですか?」

ミカヅチ様は僅かに眉を上げたけど、凍りついた様に私を凝視した。

「ほら、トイレの神様とか、神様ってなんか色々別れて」

「殺すぞ」

ギラリと私を睨むと、ミカヅチ様は苛立たしげに口を開いた。

「俺は雷神にして剣神でもあるが……いわゆる武神だ」
< 13 / 197 >

この作品をシェア

pagetop