白鷺の剣~ハクロノツルギ~
そう言いながら宗太郎は布をほどき、刀を鞘から抜いて私に見せた。

これは………!

私はハッとして宗太郎を見上げた。

これは、あの時の脇差だ。

元の世界で、お祖父ちゃんの刀部屋で見た脇差だ。

あの時のお祖父ちゃんとの会話が脳裏に蘇った。


『……この脇差はいつの頃のやつ?』

『六さんに見てもらわなまだはっきり分からんけど、お祖父ちゃんは幕末やと思とるんや』


呆然と宗太郎を見つめる私に、彼は優しい眼差しを向けた。

「これはな、お前が白鷺の前から消えた時、アイツが一振りしたものだ。今は俺が預かってる」
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