白鷺の剣~ハクロノツルギ~
ギュッと抱き付くと、白鷺もまた私の背中に回した手に力を込めた。

私はそれを嬉しく思いながら、身を起こして白鷺を見上げた。

涼やかな眼も、通った鼻筋も綺麗な口元も、みんなみんな大好き。

「白鷺、返事なんか要らないよ。だけど大好き。私、白鷺が大好き」

思いきり背伸びをして白鷺の頬に唇を寄せると、私は笑った。

白鷺はそんな私の頬に残る涙を指で拭いながら、優しく言った。

「帰るぞ」

「うん」

私達は少しだけ見つめ合ってから手を繋いで、長く緩やかな坂道を歩き始めた。
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