白鷺の剣~ハクロノツルギ~
そこまで言った雅さんの目から涙がこぼれ落ち、頬に一筋の線を描いた。

「だからこう言ったのよ。
一生私を抱き続けて償ってって。他の女を抱くのは絶対に許さない」

私はかぶりを振った。

「あなたは甘えてるだけよ。白鷺の優しさに。そんなの愛じゃない。愛してるなら、許せるはずよ!彼を無理矢理縛り付けているあなたに、愛なんて語る資格はないわ」

途端に雅さんから風が巻き起こった。

それと同時にゆっくりと浮かんでいた白鷺一翔が回転し、その切っ先が私を捉える。

「お前などに白鷺は渡さない。妖刀と化した白鷺一翔を身に受けて死ね」

私は脇差・柚姫を構えて敢然と言葉を返した。

「受けて立つわ!白鷺を私が守る!
白鷺一翔だって元に戻すわ!宿る魂も私が解き放つ!皆もう刀から離れて自由になりたいのよ!」

その時、

「柚菜、脇差を絶対に離すな」

弥一さんの声だ。

「罪人風情が、小癪な!」

雅さんが鼻にシワを寄せて嫌悪感を顕にした。

「死ね!小娘!」

「くっ!!」

矢のように一直線に飛んできた白鷺一翔を、私は柚姫で弾き飛ばした。

キイン!と鋭い高音が部屋中に響く。

その直後、白鷺一翔から、無数の青白い光の玉が弾けて辺りに飛び散った。

「オオ、カタナカラデラレタゾ」

「ミガカルクナルオモイダ」

私はその声に眼を見張った。
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