白鷺の剣~ハクロノツルギ~
もしかしてこの柚姫が、白鷺一翔に宿り続けた魂を解放しているんじゃないだろうか。

わからない。

分からないけど、私はそれに懸けたかった。

「弥一さん!今自由にしてあげるから待ってて!」

私はそう言い放つと、飛んでくる白鷺一翔と再び斬り結んだ。

剣術なんか習ったことがなかったけど、白鷺の脇差・柚姫は私の手に凄く馴染んでいて、私は不思議と自信がみなぎっていた。

幾度となく二本の刀がぶつかり合った後、とうとう白鷺一翔から光の玉が出なくなり、それを見た雅さんが悔しそうに歯軋りした。

「憎い女よ。遊びはもう終わりだ」

ハアハアと肩で息をする私とは対照的に、雅さんは実に静かで、眼の動きだけで自由自在に白鷺一翔を操っている。

何度も何度も飛んでくる白鷺一翔を私は弾き返した。

ダメだ、息がくるしい。

もう私はフラフラで、腕が鉛のように重かった。

体力なんか残っていない。

私はチラリと白鷺に眼を向けた。

白鷺は相変わらず自由を奪われていたけど、その眼差しは真っ直ぐ私を見ていたから、私はそれに答えたくて少し笑った。

白鷺、見ていて。

雅さんの生き霊は、どんなことをしても私が退けるわ。

白鷺を自由にしてあげる。

私は大きく息を吸い込むと、最後の力を振り絞って柚姫を構えた。

「しぶとい小娘めが」
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