白鷺の剣~ハクロノツルギ~
血を吐くような生き霊の声に、黒髪の男はフンと鼻を鳴らした。
「お前はいつまで白鷺にしがみつく気なんだよ。心ではもう分かってんだろうが。白鷺にあるのはお前に対する罪の意識だけで、それが愛情でないってことに。
もう潮時だ。
柚菜の強さを見ただろう?生身の人間が愛をかけてお前に立ち向かったんだぞ」
雅の生き霊が泣き崩れた。
「相手の弱味に付け込んで愛だなんてほざいてんじゃねえよ。
憎しみや独りよがりを正義や愛情と勘違いせずに前を向け!
自分の肉体から離れず、しっかりと両足を踏みしめて生きろ。
お前の肉体に恥じないように」
雅の生き霊が言葉を失い項垂れた。
「俺はなあ、剣神なんだよ。刀を侮辱したお前を赦すわけにはいかねぇ!」
「白鷺……ごめんなさい」
剣神だと名乗った黒髪の男は、剣を真横にし、顔の正面に構えると何やら人の言葉ではないような言葉を発した。
「あ、ああああっ!!」
たちまちのうちに、見えない波のような空気の流れが起こり、それが雅の生き霊を包み込んだ。
するとその見えない空気の波が、瞬く間に銀の光に変わり、雅の生き霊がかすみ始めた。
「白鷺……もう邪魔はしません。いままでごめんなさい」
最後にそう言い残すと、雅は徐々に薄くなり部屋から静かに消えていった。
目の前の出来事すべてが夢の中よりも奇妙で、俺は動くことが出来ず、ただただ剣神を見上げた。
「……さてと」
小さく息をついてそう言うと、剣神はゆっくりと踵を返して俺を見下ろした。
「お前はいつまで白鷺にしがみつく気なんだよ。心ではもう分かってんだろうが。白鷺にあるのはお前に対する罪の意識だけで、それが愛情でないってことに。
もう潮時だ。
柚菜の強さを見ただろう?生身の人間が愛をかけてお前に立ち向かったんだぞ」
雅の生き霊が泣き崩れた。
「相手の弱味に付け込んで愛だなんてほざいてんじゃねえよ。
憎しみや独りよがりを正義や愛情と勘違いせずに前を向け!
自分の肉体から離れず、しっかりと両足を踏みしめて生きろ。
お前の肉体に恥じないように」
雅の生き霊が言葉を失い項垂れた。
「俺はなあ、剣神なんだよ。刀を侮辱したお前を赦すわけにはいかねぇ!」
「白鷺……ごめんなさい」
剣神だと名乗った黒髪の男は、剣を真横にし、顔の正面に構えると何やら人の言葉ではないような言葉を発した。
「あ、ああああっ!!」
たちまちのうちに、見えない波のような空気の流れが起こり、それが雅の生き霊を包み込んだ。
するとその見えない空気の波が、瞬く間に銀の光に変わり、雅の生き霊がかすみ始めた。
「白鷺……もう邪魔はしません。いままでごめんなさい」
最後にそう言い残すと、雅は徐々に薄くなり部屋から静かに消えていった。
目の前の出来事すべてが夢の中よりも奇妙で、俺は動くことが出来ず、ただただ剣神を見上げた。
「……さてと」
小さく息をついてそう言うと、剣神はゆっくりと踵を返して俺を見下ろした。