白鷺の剣~ハクロノツルギ~
◇◇◇◇◇◇◇◇

数日後。

「いやあ、しかし良かったな、柚菜!」

宗太郎が満面の笑みを浮かべて私の肩を抱いた。

「すぐ目覚めると思ってたのに、三日も眠り続けるものだから心配したぜ」

「ごめんね、心配かけて」

私は宗太郎を見上げると、彼の盃にお酒を注いで微笑んだ。

そんな私を何故か宗太郎は眼を真ん丸にして見つめたけど、やがて僅かに眉を寄せた。

「柚菜、お前はやっぱ可愛い!なあ、白鷺なんかやめて俺の家に」

その時、無理矢理腕を引っ張られて宗太郎から引き剥がされると、私は白鷺の胸に抱かれた。

慌てて見上げると、白鷺は宗太郎を憮然とした表情で一瞥し、

「お前はいつまでここにいるんだ。早く帰れ」

「なんだよ、まだ昼じゃねぇか!なんなら、もう一日」

「ダメだ」

白鷺は冷たく言い放つと、今度は私を見下ろした。

「柚菜は俺のものだ」

至近距離から見つめられて、そんな嬉しい言葉をかけられて、私は思わず息を飲んだ。

『柚菜は俺のものだ』

心臓がドキドキと煩くて、頬に密着した白鷺の胸が熱くて、私は夢中で彼を見上げた。

「白鷺、だいす」

「ああもう!俺が帰ってからにしろっ」

宗太郎が呆れたように私達を見て帰っていき、私は彼の後ろ姿を見送ると白鷺に向き直った。
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