白鷺の剣~ハクロノツルギ~
『白鷺に会わせてやる代わりに、剣を一振りさせろ。それを必ず持ち帰るんだ。わかったな!?』
……多分私、本当に昔の日本に送られちゃったんだ。
どうしよう、どうしよう。
その時、ヒョイと誰かが視界に入った。
「目覚めましたか」
「うわぁっ!」
反射的に起き上がると、私は焦って後ずさった。
眼の前の男性はすぐ近くで膝をついて私を真正面から凝視し、私もまた彼から眼をそらすことが出来なかった。
切れ長の美しい瞳。
意思の強そうな口元。
短髪で、小さな形のよい頭に広い肩幅。
その姿はまるで和装した男性モデルのようで、私は思わず息を飲んだ。
なんとまあ、カッコイイ人なんだろう。
「大丈夫ですか?」
低くて艶のある素敵な声で、男性は私に訊ねた。
「…は、い………」
声が掠れていたけどショックのせいなのか、お祖父ちゃんと飲み過ぎて酒焼けしたのかは定かでなかった。
「……」
「……」
眼の前のイケメンがどう出るかを見てから自分の取るべき行動を決めようと思い、様子を窺っているのに、彼は私を見つめるだけである。