白鷺の剣~ハクロノツルギ~
向き直ったものの……やだ、なんか恥ずかしい。

私は身を起こすと白鷺の隣に戻った。

「私も会いたかったな、ミカヅチに」

雰囲気を変えたい気持ちも手伝って、私はポツンとそう呟いた。

私が雅さんの生き霊に刺されて気を失った後のことは白鷺と宗太郎から聞いたけれど、やっぱりミカヅチには会いたかった。

「あの分だと会いに来そうだな、お前に」

白鷺が盃を傾けてから私をチラリと見た。

「剣神ミカヅチは、物凄くお前を可愛がってる様子だったから」

私はミカヅチとの出逢いや、彼と交わした言葉の数々を思い出しながら微笑んだ。

それから急にミカヅチとの会話が蘇った。

『柚菜、背中の剣はどうする?』

『消さないで、ミカヅチ』

『分かった。じゃあな』

『うん』

……これって……眠ってる時に、夢だと思ってた会話だ。

今思えば、ミカヅチが眠ってる私に会いに来てくれたんだろうな。

ありがとね、ミカヅチ。

その時、白鷺が大きく咳払いをした。

我に返って咄嗟に白鷺の方を向くと、白鷺はムッとして私を睨んでいた。

「な、なに?」

「他の男の事を考えるな」

「は?!ミカヅチだよ!?神様だよ!?」

「いくら神でも男だろう。
……こっちに来い」
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