白鷺の剣~ハクロノツルギ~
「白鷺流は幕府が鎌倉にあったころから、忍刀には名を彫らないのが慣わしだから、柚菜の時代にもしも白鷺流の忍刀が発見されたとしても、気付く者はまずいないだろう」
そうだったんだ……。
「なんか、勿体無い」
「なぜ?」
「だって播磨の地にもこんな腕の良い刀匠がいたって皆に知ってもらいたいもん。白鷺の刀が、有名な大業物にもひけを取らない刀だって」
私が少し声を大きくして言ったせいか、白鷺は驚いたように私を見た後、クスッと笑った。
「柚菜が知っていてくれたら、それでいい」
白鷺……。
「忍者と呼ばれる者が激減し、俺が白鷺流の十代目を継いでからは様々な刀を作るようになったが、それが後世に残るより、柚菜が傍にいて俺の刀を誉めてくれた方が何にも増して嬉しい」
「白鷺……」
その時、私はお祖父ちゃんが見せてくれた太刀を思い出した。
「私ね、白鷺流西山と彫られた太刀を見たのよ。素晴らしい太刀だった。お祖父ちゃん曰く、業物以上の凄い太刀だって」
白鷺が少し驚いたように唇を引き結んだけど、私は構わずに続けた。
「お祖父ちゃんがね、多分鎌倉時代の物だって」
「それは……俺の先祖がある武将に献上したものだ」
「ある武将って?!」
凄くワクワクして、私は白鷺を夢中で見つめた。
「お前が見たのはおそらく、羽柴殿が入城する際に急遽献上することになった太刀だろう。それまでは代々、西山家の家宝だった。初代白鷺流の当主、西山翔羽(しょうう)の渾身の一振りだからな」
そうだったんだ……。
「なんか、勿体無い」
「なぜ?」
「だって播磨の地にもこんな腕の良い刀匠がいたって皆に知ってもらいたいもん。白鷺の刀が、有名な大業物にもひけを取らない刀だって」
私が少し声を大きくして言ったせいか、白鷺は驚いたように私を見た後、クスッと笑った。
「柚菜が知っていてくれたら、それでいい」
白鷺……。
「忍者と呼ばれる者が激減し、俺が白鷺流の十代目を継いでからは様々な刀を作るようになったが、それが後世に残るより、柚菜が傍にいて俺の刀を誉めてくれた方が何にも増して嬉しい」
「白鷺……」
その時、私はお祖父ちゃんが見せてくれた太刀を思い出した。
「私ね、白鷺流西山と彫られた太刀を見たのよ。素晴らしい太刀だった。お祖父ちゃん曰く、業物以上の凄い太刀だって」
白鷺が少し驚いたように唇を引き結んだけど、私は構わずに続けた。
「お祖父ちゃんがね、多分鎌倉時代の物だって」
「それは……俺の先祖がある武将に献上したものだ」
「ある武将って?!」
凄くワクワクして、私は白鷺を夢中で見つめた。
「お前が見たのはおそらく、羽柴殿が入城する際に急遽献上することになった太刀だろう。それまでは代々、西山家の家宝だった。初代白鷺流の当主、西山翔羽(しょうう)の渾身の一振りだからな」