白鷺の剣~ハクロノツルギ~
「姫路城に住むことになった豊臣秀吉に、あげちゃったの?!」
白鷺は少し笑って私を見た。
「羽柴殿に献上するのに、そこいらの並の刀ではダメだろう?」
そりゃそうかもしれないけど……。
でもなぜ、そんな由緒正しい太刀がお祖父ちゃんの従兄弟の家の縁の下から出てきたんだろう。
……それからやっぱり勿体無い。
そんな、代々大切にしていた太刀をあげちゃうなんて。
「柚菜」
白鷺が、ゆっくりと身を乗り出して私の肩を引き寄せた。
「唇が尖ってるぞ」
甘く笑った白鷺に私は焦って答えた。
「だって、やっぱり勿体無くて」
私がそう答えると白鷺は僅かに目を細め、申し訳なさそうな、気遣うような、何とも言えない表情で口を開いた。
「勿体無いで思い出したが、お前は……本当によかったのか?この時代に生きると決めて」
私は至近距離にある、白鷺の端正な顔を見上げて、真剣に言葉を返した。
「白鷺の傍にいない方が後悔する。白鷺がいない場所なら、私の生きる意味がない」
「柚菜……」
柔らかく呼ぶ白鷺に、私はフワリと笑いかけた。
「さあ飲もう、白鷺!今日は私の快気祝いでしょ?!」
「……ああ……そうだな」
その時、戸口がトントンと鳴った。
「白鷺」
聞こえてきた澄んだ声に、私と白鷺は顔を見合わせて硬直した。
白鷺は少し笑って私を見た。
「羽柴殿に献上するのに、そこいらの並の刀ではダメだろう?」
そりゃそうかもしれないけど……。
でもなぜ、そんな由緒正しい太刀がお祖父ちゃんの従兄弟の家の縁の下から出てきたんだろう。
……それからやっぱり勿体無い。
そんな、代々大切にしていた太刀をあげちゃうなんて。
「柚菜」
白鷺が、ゆっくりと身を乗り出して私の肩を引き寄せた。
「唇が尖ってるぞ」
甘く笑った白鷺に私は焦って答えた。
「だって、やっぱり勿体無くて」
私がそう答えると白鷺は僅かに目を細め、申し訳なさそうな、気遣うような、何とも言えない表情で口を開いた。
「勿体無いで思い出したが、お前は……本当によかったのか?この時代に生きると決めて」
私は至近距離にある、白鷺の端正な顔を見上げて、真剣に言葉を返した。
「白鷺の傍にいない方が後悔する。白鷺がいない場所なら、私の生きる意味がない」
「柚菜……」
柔らかく呼ぶ白鷺に、私はフワリと笑いかけた。
「さあ飲もう、白鷺!今日は私の快気祝いでしょ?!」
「……ああ……そうだな」
その時、戸口がトントンと鳴った。
「白鷺」
聞こえてきた澄んだ声に、私と白鷺は顔を見合わせて硬直した。