白鷺の剣~ハクロノツルギ~
◇◇◇◇◇
「柚菜、よう帰ってきたなあ」
「……ただいま。お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも元気そうで良かったわ」
「柚菜が思たより元気そうで安心したわ」
「…………」
「…………」
……思ったより元気そうって、どんな感じに思われていたのかは……敢えて考えまい。
長方形のテーブルを二つ並べた実家の約二十畳の和室に座る面々は、私の家族なんだけれども。
……気まずい。
実に気まずい。
毎年お盆には帰省するんだけど、今年はいつもと皆の雰囲気が違う。
仏壇や欄間、床の間の掛軸をしきりと見たり、私と視線を合わせずにそっとこちらを盗み見している。
声かけづらいよね、そりゃ。
だって私、秋武柚菜(あきたけゆうな)は離婚しちゃったんだもの。
祖父母、両親、兄夫婦とその子供達が勢揃いするなか、父が妙な咳払いをした後、斜め向かいに座る私をチラリと見た。
「まあ、かまへんやないか。お前はまだ23や。これから先、まだまだようけ」
「なあ、柚菜ちゃん、『離婚』てなにー?」
「こらっ、祐丞!」
焦る義姉さん。
「なにー?ママ、『離婚』て聞いたらあかんのー?」
なんとまあ残酷な生物なんだ、幼稚園児という生き物は。
父の言葉を平気で遮り、傷心という名の海に放り出された当人にドストレートに尋ねるとはな。
「柚菜、よう帰ってきたなあ」
「……ただいま。お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも元気そうで良かったわ」
「柚菜が思たより元気そうで安心したわ」
「…………」
「…………」
……思ったより元気そうって、どんな感じに思われていたのかは……敢えて考えまい。
長方形のテーブルを二つ並べた実家の約二十畳の和室に座る面々は、私の家族なんだけれども。
……気まずい。
実に気まずい。
毎年お盆には帰省するんだけど、今年はいつもと皆の雰囲気が違う。
仏壇や欄間、床の間の掛軸をしきりと見たり、私と視線を合わせずにそっとこちらを盗み見している。
声かけづらいよね、そりゃ。
だって私、秋武柚菜(あきたけゆうな)は離婚しちゃったんだもの。
祖父母、両親、兄夫婦とその子供達が勢揃いするなか、父が妙な咳払いをした後、斜め向かいに座る私をチラリと見た。
「まあ、かまへんやないか。お前はまだ23や。これから先、まだまだようけ」
「なあ、柚菜ちゃん、『離婚』てなにー?」
「こらっ、祐丞!」
焦る義姉さん。
「なにー?ママ、『離婚』て聞いたらあかんのー?」
なんとまあ残酷な生物なんだ、幼稚園児という生き物は。
父の言葉を平気で遮り、傷心という名の海に放り出された当人にドストレートに尋ねるとはな。