白鷺の剣~ハクロノツルギ~
……多分、彼も私と同じ考えなのだ。

ええい、仕方がない。

助けてもらったのは私の方だし。

私は大きく息を吸った後、彼を見つめて口を開いた。

「助けていただいてありがとうございます」

私がそう言うと、彼は少し首を振った。

「うちの敷地に倒れていたので。あなたは……異人ですか?見馴れぬ服をお召しになっているし……」

その言葉に思わず俯いて衣服を確認すると、実家で着ていた部屋着のままだった。

ようするにピンクと薄紫のストライプのスウェット。

「そうではないんですけど……実は私、時代を越えて来たんです」

思いきってそう言ったのに、眼の前のイケメンは一瞬眼を見開いてから少し眉を寄せた。

「……お気の毒に」

それから、

「少し休んだら帰りなさい、あなたの時代に」

全然信じてないな、こりゃ。

そうよ、帰りたいのよ私も!

でも、私にはやらなきゃならないミッションがある。

ああ、どうせならこの男前が白鷺であってほしい。

じゃあ探す手間が省けて、剣を作ってもらったらさっさと21世紀の日本に帰れる。

「あなたは……もしかして白鷺さん?刀工の」

私が恐る恐る尋ねると、着物のイケメンは少しだけ眼を細めて、ゆっくりと口を開きかけた。
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