白鷺の剣~ハクロノツルギ~
「この播磨の地に十代続く凄腕の刀匠だぜ、白鷺流は!お前みたいな遊女にコイツが刀を作るわけないだろーが!とっとと帰んな!!」

ええ!?十代も続いてんの?!

私は凄く驚いたけど、とにかく断られる訳にはいかず、必死で食い下がった。

「そこをなんとかお願いします!お金なら、」

そこまで言って私は、サァーッと頭から冷水をかけられたように凍りついた。

お金?!

お金なんて私……あ!

もしかして気付かないうちに、ミカヅチ様がポケットに忍ばせてくれてたりとか。

私はスウェットのポケットを探った。

しかし見事に空っぽで、思わず内心舌打ちした。

クソッ!ミカヅチのヤツ!

普通、お金持たすでしょう?!着物だって用意するでしょう?!

ミカヅチ様がうっかりしてるから、私めちゃめちゃ苦労しなくちゃならない感じじゃないの!

私は泣き出したい思いで白鷺を見つめ、必死で彼にすがった。

「あの、私に出来ることは何でもするので、剣を一刀作って下さい!お金も働いて必ず用意します!」

白鷺は必死の形相で懇願する私に恐怖を覚えたのか、息を飲んで私を見つめた。

「断られたら私、元の世界に帰れないんです!」

「お前、気がフれてるのか」

赤茶が焦って私の正面に回り込み、至近距離からこちらを見つめた。
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