白鷺の剣~ハクロノツルギ~
私は出入り口に向かうと、高い敷居をまたいだ。

……マジで?!

一歩外に出て呆然とした。

だって、果てしなく緑なんだもの。

前後左右が全部青々と生い茂る緑っ!

マイナスイオン出まくり。

辛うじて緑度合いがマシだったのが前方だった。

幅三メートル弱の舗装されていない砂利道があったから。

その下りの砂利道ですら十数メートル先で木々の葉に隠れ、途切れていた。

立ち尽くす私に、背後から赤茶が声をかけた。

「大丈夫かよ」

私は振り返らず、途切れて見える砂利道を凝視したまま言葉を返した。

「大丈夫じゃない。だって、一銭も持ってないんだもの」

「お前、何処から来たんだよ」

「未来」

「それ、おもしれぇけど真面目に」

「真面目だよっ!真面目に言ってんのっ!!」

私は振り返ると赤茶を睨んだ。

「私だって来たくなかったよっ!!だけどミカヅチ様がっ!!」

グニャリと赤茶の整った顔が歪み、私は再び涌き出た涙の存在に気づいた。

「しゃーねーな」

「…………っ」
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