白鷺の剣~ハクロノツルギ~
言うなり赤茶は私の手を掴むと、砂利道を歩き出した。

「来い」

大きな彼の手は私の手をスッポリと包み、私は驚いて眼の前の逞しい後ろ姿を見つめた。

私は咄嗟に後ろを振り返った。

途端に入り口の前からこちらを見つめる白鷺と眼が合う。

「ほら、行くぞ」

腕を引かれ、私は歩き出した。

何処に行こうとしているのかは分からないけど、頼れる手はこの手しかない。

もう、腹を括るしかないんだ。

私は空いている手で涙を拭うと大きく息を吸って、しっかりと前を向いた。

温かい赤茶の手を握り締めて。
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