白鷺の剣~ハクロノツルギ~
「では今晩だけ……夕食の支度をしましたから一緒に食べましょう」

「西山さんが作ってくださったんですか?!」

ついつい嬉しくて、私が土間のかまどとその隣の鍋に眼をやると、白鷺が困ったように笑った。

「……味は保証できませんが、猟師の仁さんから猪肉をいただいたので、入れました」

「いい匂い!」

「お酒は飲みますか?」

白鷺の問いに私は頷いた。

「実は私、ザルなんです」

「へえ、そうですか」

白鷺は流すように私を見ると、鼻で笑った。

まるで信じてないようだ。 

何でもいいから一つでも、自分の事を信じて欲しかった。

「本当よ」 

私は白鷺の側においてあった陶器の徳利を手にすると、彼を見つめてニヤリと笑った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

……んー……。

痛い……身体が。

堅い床は本当に慣れない。

下にしている肩がたまらなく痛い。

私は顔をしかめながら寝返りを打った。

あれ、なんでこんな壁際で寝てんの私。

……まあいいや。

そう思いながら壁にすり寄ると、壁から出てきた腕に身体を囲うように包まれた。

んあ?

なに、どういうこと?

でも温かくて気持ちいい。
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