白鷺の剣~ハクロノツルギ~
「……今さら白々しく『西山さん』なんて呼ばなくていい」

嘘でしょ、どうしよう!

「待って、今思い出すから……」

焦りまくる私を更にギュッと抱き締めると、白鷺は息がかかる距離で口を開いた。

『白鷺、剣を作ってっ!じゃないと私、21世紀に帰れない!白鷺の刀は凄く素敵なのに作った本人は凄く意地悪!でも私、剣を作ってくれるまでは側を離れない!』

まじか……!私、そんな暴言を……!

「……ごめんなさい」

項垂れる私を見て、白鷺は笑った。

「柚菜は酒を飲まない方がいい」

……そう言われても仕方ないよね……。

気付いてなかったが酒乱だったのか、私。

「……俺以外の人間の前では」

「……へ?」

それはどういう意味なのか。

「とにかく、俺以外とは酒を飲まないと約束を」

もしかして、酒飲んで暴れて無礼を働いたら、この世界では斬り殺されるぞという忠告なのだろうか。

「はい……ごめんなさい」

「それとひとつ質問が」

この体勢で、質問?

「なんですか?」

「敬語は使わなくていい。化けの皮は剥がれているから」

化けの皮って……そんなに酷かったのか、私。

「……なに?」

私が白鷺を見つめると、彼は少し咳払いして視線を反らした。
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