白鷺の剣~ハクロノツルギ~
だめだ、やっぱり分かんない。

私は小さく溜め息をついた。

そんな私を白鷺は訝しげに見ていたけど、

「知り合いか?」

「あはは、まっさかあ!」

あんな偉人と私が知り合いのわけがない。

……偉人。

確かに坂本龍馬は有名人だ。

じゃあ既にこの時代でも?

いやいや、まさか。

脱藩しただけで名が知れるわけがない。

テレビもラジオもないこの時代に。

となると、脱藩浪士の坂本龍馬が有名になった、何かしらの……。

私は再び白鷺を見上げた。

「あの、西山さん……寺田屋って知ってます?」

白鷺は物憂げな表情をして部屋の空間をみつめた。

「京の?今年の春に起きた寺田屋の騒動の事を聞いているのか?丁度京へ用事があった時に……」

今年の春……。

ならこの世界は今、1862年!?私の記憶が正しければ。

2016-1862=154

……154年も前の日本にとばされちゃったの?

154年!

……まあ、平安時代よりマシかな……。

私はミカヅチ様の顔を思い出しながら、歯軋りしそうになるのを必死でこらえた。

どっちも嫌だっつーのっ!!

あのアホ神ーっ!!
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