白鷺の剣~ハクロノツルギ~
私達はたちまちのうちにバリバリと睨み合ったが、

「あーっ!!!」

私が空を指して叫ぶと、白鷺は驚いて私の指差した方向を見上げた。

フッ、馬鹿め、かかったな!

今だ。

油断した白鷺の腕を素早く掴むと、私は彼を一気に川へと引きずり入れて、足を払った。

「なっ、うわっ!」

見ものだった。

白鷺の焦った顔と、浅い川に仰向けに倒れた彼の身体。

それと同時に、飛び散った水の雫が太陽の光をキラキラと反射して白鷺の身体を包んだ。

「あっははははは!ざま-見ろ!」

浅い清流に仰向けに倒れ、水浸しなった白鷺にアッカンベーとやると、彼は眼を真ん丸にした後、素早く身を起こした。

「へっ!?きゃあああっ!!」

白鷺が私の両足に腕を絡めたせいで、身体がグラリと揺れた。

衝撃が怖くて反射的にギュッと眼を閉じる。

……あれ?!

ゆっくりと身体が倒れていく感覚。

「きゃあっ!!冷たっ!!」

痛くはなかったけど、ジワリと服が水を含んで、私は思わず眼を開けた。

途端に、至近距離から私を見つめる白鷺と眼が合う。

初夏と言えども、山間の清流は冷たい。

「参ったか」
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