白鷺の剣~ハクロノツルギ~
心臓が痛いくらい激しく脈打つ。
彼は人斬りだ。
自分の信じた道のため、心酔した人の為なら誰だって斬る。
キュッと身がよだつ感覚がした。
僅かに皮膚が裂けた痛み。
懐刀が私の喉元の皮膚を薄く開いたのだ。
岡田以蔵が顔を斜めにすると、眼を細めて私の首筋に唇を寄せた。
柔らかな彼の舌が喉を伝う。
「あなただけじゃない!坂本龍馬だって、武市半平太だって知ってる!」
彼が私の顔を見つめた。
「あなたが武市さんに人斬りにされてることも」
その瞬間、バシッと平手で殴られて、私はギュッと眼を閉じた。
「武市さんを悪く言うな。殺すぞ」
「このままじゃ、あなたは捕られるわ!武市さんにだって裏切られる!」
ああ、また殴られる!
私は先に眼を閉じて歯を食い縛った。
その時、
「柚菜を離せ」
「きゃあっ!」
私の正面……岡田以蔵の背後から、白鷺一翔を構えた白鷺がその切っ先をこちらに向けて睨んでいた。
けれどそれは驚くほど一瞬で、眼にも留まらぬ速さで岡田以蔵が身を翻すと、腰の刀を抜刀して後ろ手に白鷺一翔を跳ね退けた。
直後に私の背中から腕を回して、鍔に近い部分の刃をピタリと私の喉に押し当てた。
「白鷺一翔を渡せ。さもなくばこの女を斬る」
彼は人斬りだ。
自分の信じた道のため、心酔した人の為なら誰だって斬る。
キュッと身がよだつ感覚がした。
僅かに皮膚が裂けた痛み。
懐刀が私の喉元の皮膚を薄く開いたのだ。
岡田以蔵が顔を斜めにすると、眼を細めて私の首筋に唇を寄せた。
柔らかな彼の舌が喉を伝う。
「あなただけじゃない!坂本龍馬だって、武市半平太だって知ってる!」
彼が私の顔を見つめた。
「あなたが武市さんに人斬りにされてることも」
その瞬間、バシッと平手で殴られて、私はギュッと眼を閉じた。
「武市さんを悪く言うな。殺すぞ」
「このままじゃ、あなたは捕られるわ!武市さんにだって裏切られる!」
ああ、また殴られる!
私は先に眼を閉じて歯を食い縛った。
その時、
「柚菜を離せ」
「きゃあっ!」
私の正面……岡田以蔵の背後から、白鷺一翔を構えた白鷺がその切っ先をこちらに向けて睨んでいた。
けれどそれは驚くほど一瞬で、眼にも留まらぬ速さで岡田以蔵が身を翻すと、腰の刀を抜刀して後ろ手に白鷺一翔を跳ね退けた。
直後に私の背中から腕を回して、鍔に近い部分の刃をピタリと私の喉に押し当てた。
「白鷺一翔を渡せ。さもなくばこの女を斬る」