白鷺の剣~ハクロノツルギ~
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「白鷺……どうするんだ?あれを世に出す訳にはいかないだろう」
ボソボソと話す宗太郎の声で、私は目が覚めた。
どうやら布団の中のようだ。
あれから私は部屋に運ばれて、切られた喉を酒で拭かれ、白鷺の腕の中で眠ってしまったようだ。
目が覚めたけど、私が起きたと分かるときっとこの会話はここで終わる。
私は眼を閉じたまま意識を集中させた。
「白鷺一翔は俺が生み出してしまった化け物だ。
岡田があれを振るう度、人の血を吸って更に妖気が増すだろう」
「……まだ憑いてるのか、お前に」
宗太郎がそう言うと、白鷺は小さく息をついた。
「ああ……多分な」
「厄介だな」
「………腕のいい祓い屋はいねえのかよ」
白鷺の小さな声がした。
「住職によると、人の念はそう簡単に祓えないらしい。念が強ければ強いほど尚更。その念に亡き者達の無念の思いが引き寄せられて邪悪すぎる悪念となるらしい。
……多分俺は……己の作る刀で死ぬんだろうな」
「……やだ……!」
我慢出来なかった。
勢いよく起き上がり、しゃくり上げる私を見て、二人が素早くアイコンタクトを取る。
「俺は、そろそろ帰るわ。何日も家を空けたからな。
白鷺、柚菜を頼んだぜ」
宗太郎はそう言い残すと白い歯を見せ、私の頭をくしゃりと撫でた。
「大丈夫だよ、心配すんな。じゃあまた明日な」
宗太郎の後ろ姿が涙で滲んだ。
「柚菜」
「白鷺……」
白鷺は私に歩み寄るとゆっくりと座って、目の高さを合わせた。
「泣かなくていい」
白鷺は困ったように笑って、私の瞳を覗き込んだ。
「白鷺……どうするんだ?あれを世に出す訳にはいかないだろう」
ボソボソと話す宗太郎の声で、私は目が覚めた。
どうやら布団の中のようだ。
あれから私は部屋に運ばれて、切られた喉を酒で拭かれ、白鷺の腕の中で眠ってしまったようだ。
目が覚めたけど、私が起きたと分かるときっとこの会話はここで終わる。
私は眼を閉じたまま意識を集中させた。
「白鷺一翔は俺が生み出してしまった化け物だ。
岡田があれを振るう度、人の血を吸って更に妖気が増すだろう」
「……まだ憑いてるのか、お前に」
宗太郎がそう言うと、白鷺は小さく息をついた。
「ああ……多分な」
「厄介だな」
「………腕のいい祓い屋はいねえのかよ」
白鷺の小さな声がした。
「住職によると、人の念はそう簡単に祓えないらしい。念が強ければ強いほど尚更。その念に亡き者達の無念の思いが引き寄せられて邪悪すぎる悪念となるらしい。
……多分俺は……己の作る刀で死ぬんだろうな」
「……やだ……!」
我慢出来なかった。
勢いよく起き上がり、しゃくり上げる私を見て、二人が素早くアイコンタクトを取る。
「俺は、そろそろ帰るわ。何日も家を空けたからな。
白鷺、柚菜を頼んだぜ」
宗太郎はそう言い残すと白い歯を見せ、私の頭をくしゃりと撫でた。
「大丈夫だよ、心配すんな。じゃあまた明日な」
宗太郎の後ろ姿が涙で滲んだ。
「柚菜」
「白鷺……」
白鷺は私に歩み寄るとゆっくりと座って、目の高さを合わせた。
「泣かなくていい」
白鷺は困ったように笑って、私の瞳を覗き込んだ。