白鷺の剣~ハクロノツルギ~
「建御雷神(タケミカヅチノカミ)ゆうのは、日本の神様や」
……そうだっけ。
分かんないなあ。けど神様の剣って、昔から有名だよね。
ほら、『神代三剣(かみよさんけん)』とか。
『神代三剣』っていうのは日本の神話の中にでてくる剣で、特にメジャーな剣の事だよね。
天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)
布都御魂(ふつのみたま)
天羽々斬(あめのはばきり)
この三剣を神代三剣と呼ぶのだけど、私が覚えているのは、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)……別名『草薙の剣(くさなぎのつるぎ)』のお話だけ。
……確か、スサノオが、出雲の国でヤマタノオロチを退治して、尻尾を切った際にスサノオの剣の刃が欠けて、その尻尾から出てきた剣が草薙剣(くさなぎのつるぎ)だと言われているんだよね。
……スサノオは知ってるけど、 建御雷神(タケミカヅチノカミ)は知らない。
私はしばらく無造作に置かれた箱を見つめていたけど、やがてそれに近付きながら、口を開いた。
「……開けて見てもいい?」
「 やめとき」
切り返すようにお祖父ちゃんは言葉を返した。
そして白鷺の脇差を丁寧にしまうと、チラッと私を見た。
「祭事に使う神剣や。刃は先端しかついてないし、誰が作ったかもわからん。その上、焼きも入ってないし鋳物やな、多分。それになんかおかしいんや、その剣は。その時代に鋼を鋳造する設備なんかないはずやのに、鋼なんやなあ……銅剣ならまだしも」
……ふーん……。
鋳造品で焼き入れもしてないなら、切れ味も強度も期待出来ない。
「さ、今日はこのぐらいにして柚菜ももう休み」
お祖父ちゃんはそう言うと、作務衣のポケットから鍵を取り出した。
「鍵するで」
「あ、うん」
私は後ろ髪を引かれる思いで部屋から出た。
……そうだっけ。
分かんないなあ。けど神様の剣って、昔から有名だよね。
ほら、『神代三剣(かみよさんけん)』とか。
『神代三剣』っていうのは日本の神話の中にでてくる剣で、特にメジャーな剣の事だよね。
天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)
布都御魂(ふつのみたま)
天羽々斬(あめのはばきり)
この三剣を神代三剣と呼ぶのだけど、私が覚えているのは、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)……別名『草薙の剣(くさなぎのつるぎ)』のお話だけ。
……確か、スサノオが、出雲の国でヤマタノオロチを退治して、尻尾を切った際にスサノオの剣の刃が欠けて、その尻尾から出てきた剣が草薙剣(くさなぎのつるぎ)だと言われているんだよね。
……スサノオは知ってるけど、 建御雷神(タケミカヅチノカミ)は知らない。
私はしばらく無造作に置かれた箱を見つめていたけど、やがてそれに近付きながら、口を開いた。
「……開けて見てもいい?」
「 やめとき」
切り返すようにお祖父ちゃんは言葉を返した。
そして白鷺の脇差を丁寧にしまうと、チラッと私を見た。
「祭事に使う神剣や。刃は先端しかついてないし、誰が作ったかもわからん。その上、焼きも入ってないし鋳物やな、多分。それになんかおかしいんや、その剣は。その時代に鋼を鋳造する設備なんかないはずやのに、鋼なんやなあ……銅剣ならまだしも」
……ふーん……。
鋳造品で焼き入れもしてないなら、切れ味も強度も期待出来ない。
「さ、今日はこのぐらいにして柚菜ももう休み」
お祖父ちゃんはそう言うと、作務衣のポケットから鍵を取り出した。
「鍵するで」
「あ、うん」
私は後ろ髪を引かれる思いで部屋から出た。