白鷺の剣~ハクロノツルギ~
◇◇◇◇◇◇◇◇

散々飲んだくれた宗太郎は、その場に仰向けに寝転ぶとガーガーと眠ってしまった。

「器は明日洗えばいい」

片付けを始めた私に白鷺が声をかけた。

「ん。じゃあ……もう寝るね」

器をざるに入れてまとめると、私は白鷺を振り返った。

「…………」

「…………」

き、気まずっ!

ダメだ、胸が苦しすぎる。

「宗太郎、ちゃんと布団に……」

この雰囲気を変えたくて、私は床に膝をついて宗太郎を覗き込んだ。

「きゃあっ」

その途端、完全に泥酔状態の彼は私の首に腕を回して引き寄せた。

あれよあれよという間に、そのままゴロンと倒されて、私は宗太郎の抱き枕と化した。

こ、こいつはぁっ。

ガタイのいい宗太郎は当然重い。

「こ、こらっ、宗太郎っ……」

私がもがいていると、上から溜め息が聞こえ、急に身体がフワリと浮いた。

「……っ、」

白鷺が私に絡まった宗太郎の腕を解き、引っ張りあげてくれたのだ。

けれど何故か私は白鷺の固い胸に頬を密着させたままで、それが不思議だった。

「あれ、ごめん白鷺、ん?ちょっと、」

自分が独りで立っているのか、白鷺に寄り掛かってるのかが、分からない。
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