そこにいた
どうして亡くなってしまったんだろう……。病気?事故?
何にしても、扉から出てきた先生の格好から、手術して助からなかったってことは事実みたい。
あの夫婦は亡くなった人の……親?
泣き崩れていた。
今も泣いているのだろうか…。
私の推測どおり、泣いていた人が亡くなった人の親だとしたら……子供が親よりも先に死んでしまうなんて、どんなに辛いことだろうか。
部屋に戻ってきてから、あの光景が頭から離れない……。
まだ若いって言ってた。
確かに、あの夫婦の子供なら、私より少し大きいくらい。
いつかこんな日が、自分にも起きるのかもしれない。
怖いよ……。
死ぬのも怖いし、私が先に死んでお母さんが一人残されてしまうと思うと……。
ああやって、泣いたときに誰もそばにいてくれない。
死にたくない気持ちよりも、お母さんを残していくと思うと、もっと怖い。
まだ起きないことなのに、いつかの自分とお母さんの姿を見ているよう…。
気づくと頬に涙が伝っていた。