そこにいた
「え?どうして…ここに?」
状況がつかめない。
なぜだ?なぜ、あの長身の先生が私の部屋にいる?
「どう、調子は。」
平然とした顔で質問する先生に、未だ驚きを隠せない。
「あれ?知ってるの?」
私の反応を見て、武田先生も驚いている。
「それなら話が早い。
各務(かがむ)亮(りょう)先生だよ。
今日から綾ちゃんの担当医となるよ。」
え?武田先生は?
「だって、だって!武田先生は?」
「僕は補佐的な役割かな。
若い先生にも働いてもらわないとね。」
え?よく分からない。
だって私、武田先生のことをお父さんみたいに思ってたのに……。
それにこの病気を治療し始めた小学生の頃から知ってるのに。
他の先生に、診てもらったこともないのに。
なんで突然?