そこにいた

あ~このまま眠っていたいなぁ。





うとうとしながらそのまま過ごし、ハッとして白衣を覆っていることに気づく。




そして隣を見ると、にこにこしながらこちらを見ている先生がいる。




って!?




「まだいたんですか?」




隣に先生がきて、たぶん・・・10分くらいが経っている。



ポカポカ陽気にすっかり頭の中を持っていかれ、時間が過ぎていた。



始めましての先生がそばにいて、姿勢を正して気を張ったつもりが、気づいたらまた自分の世界に入っていた。




先生がいることすら忘れていた。






この先生、まだいたんだ……。





「そろそろ戻ったら?」




馴れた口調で聞いてくるけど、この先生と初対面。




「・・・・・まだいいです。





どうせ帰ってもやることないし。」
    



先生こそ戻って仕事したらいいのに。





「やることないというより、




君には。何もしないことが、今は大切だよ。




部屋に戻って、布団に入って寝た方がいいよ。」

     



なぜか説教じみたことを話す先生。




その布団に入って寝る行為、どんだけ今までしてきたことか・・・



それでもよくならないでいるのに、一体何なの?この先生。




主治医でもないのに、ただのお節介?




何もしないなんて、ずっとやってる……。





この病気になって、入退院をくりかえして、ずっと……。





「それは昔からやってる……。」 
     




そう答えたつもりで呟く。




聞こえるか聞こえないかの声で。





「いつも……




いつまでも……ここにいたくない……。」





思い切って言えない自分。





横にいる初めて会う先生に、説教されて、ついイラッとしてしまう。

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