そこにいた

ホントの気持ち


「おはよう。綾ちゃん。
気分はどう?」





「もうすっかり良くなりました。」





……実のところ、まだ怠い。
頭痛は良くなってきたけど……。





「本当?まだ顔色悪いよ。」





……う。






さすが武田先生。私のこと何年も見てきてるだけある……。





「綾ちゃんは本当に我慢強い、というか、




弱みを見せないね。




もうちょっと痛いことは痛い、辛い時は辛い、苦しい時は苦しいって、言わないと……。





我慢ばかりしてると、この先身も心ももたないよ。」





え?




この先って何・・・・・・?





ずっとこの病と闘えってこと?

  




「ハハ、そんなことないですよ。」





思っていることとは全然違う言葉が出てくる……。






「そんなことあるよ。





……亮先生には、





ちゃんと話すんだよ。」





……そんな言い方。






私、武田先生のことを傷付けちゃったみたいじゃん。




そんな……今まで我が儘言って困らせたことなんてないのに。


 


ここを抜け出すことはあるけど……。





それでも我慢することが悪いことみたい。




そんな風に言わなくても。





「よしっ。




  
熱も下がってきたね。





このまま安静にしててね。





ちゃんと薬を飲むんだよ。」






体温計を確認した頃には、診察が終わってる。






亮先生より武田先生は早い。






まぁその方がいいんだよね。





亮先生は…診察以外のツッコミが多い……。
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