そこにいた

「……そういう大事なことは、ちゃんと言わなきゃ。」




さっきから、目をそらさず私を見つめてくる亮先生に、何も言えず俯く。





「・・・・・・。」





「黙ってたら分からないよ。」






沈黙に痺れを切らして、さらに追い討ちをかけられる…。






私の熱が長引いたり、いつまでも調子が悪いと……きっとさっきみたいな顔されたり、お母さんは不安になるに違いない。




だから、




「・・・・・・早くよくなった方が、







皆安心するし・・・・・・。」    







それを聞いた亮先生は、




「だけど、怠い時はそう言わないと。





余計に辛くなっちゃうよ。」






それはごもっともな意見……。





「・・・・・・ごめんなさい。」

   



「謝らなくていいから。ちゃんと自分の体と向き合ってね。」    




ちゃんと……向き合ってるよ。





だって、これは私の体ことなんだから……。





向き合っててもこれだもん……。





何年もずっと、この体に悩まされてきた。




熱が出たり、体調が優れなくなったりしても、私にはどうしようもないことなんだよ……。
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