そこにいた

「ふーん……。なんか珍しいね。」




考えたような顔で、知った口を聞く先生。





イラついた気持ちは収まらず、




「何が?」





ふーんって、何を納得しているのだろうか。




珍しいって、私の何を知っているのか……。話したこともないのに。





「君が、自分の意見を言うところ。」




はぁ?初めてあるのに何言ってるの?




そう思いながらも、先生の言葉に、



そう……私はいつも自分の言いたいことを素直に言えない……。
頭では思ってても、口に出せない。




なんて思っている。




だって……さ





「どうせ何か言ったって、何も変わらないし。」 





いや、それはたぶん……違う。
本当は自分の気持ちを、人に言う勇気がないだけ・・・・・。




はぁ……。





長年、私はこの病に悩まされてきた。   





少し熱が出ただけで病院。




様子を見ましょうって入院。




悪化する前からって回復していくまで延びていく……入院。





そんなことを繰り返してたけど、良くなることはない。






いつまで?
いつまで入退院を繰り返さなくてはならないの……。





私の病気には、移植手術が一番って聞くけど、私に踏ん切りが着かないし、お金もないからドナー登録もしていない。





この生活が嫌で嫌でたまらない。
一体いつまでなのだろうか……。





そんなことに悶々としていると、何度もため息がこぼれる。

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