そこにいた
一つずつ考えよう。
本当のお父さんのこと。
お父さんは、私のことを本当に大切に育ててくれていたことは、わかってる。
すごく複雑に思っていたと思う。
だって、私はお母さんに似ているから、周りは、
「お父さんに似てないね。」
なんていう言葉をよくかけてきていた。
私もそう思っていた。
けど、私はお父さんの性格だった。
口数は多いほうでなく、我慢強い。
病気になったときだって、そうだった。
お父さんの病気が発覚したときは、もう移植しかなかった。
数ヶ月の入院の中で、ようやく見つかったドナーの肝臓を移植したとき、
お父さんは術後に移植した肝臓が合わなくて、死んでしまった。
ちょうどお父さんの病気が発覚したとき、私も腹痛を我慢していた。
お父さんの病気でつらい思いをしているお母さんに、腹痛を言い出せなくて。
学校で激痛に襲われて、倒れて病院に運ばれていた。
そうか、、、、、
だからあの時、私の肝臓は病気でやられてはいたけど、私とお父さんに血の繋がりがないから、はなから移植のことはまったく話に出なかったんだ……。
お父さん、私を大切に育ててくれたのに、本当にごめんなさい。
私は最後までお父さんのために何もできなかったよ。
そう思うと、再び涙があふれ出た。