そこにいた
いつのまにか
「先生はまだお母さんのことを想ってるの?」
「うん、まぁね。
でもお母さんはどう想ってるのか分からない。」
「お母さんは一人で私を育てるのに必死で、きっと誰かを好きになるなんて、ここ何年もしていないと思う。」
「そうだね。
まぁ機会があれば、ゆっくり話したいけど。
なかなかね。」
「・・・・・・結婚しちゃえばいいのに。」
思ったことを呟いた。
「ぇえっ!?
何を急にっ!!!」
武田先生……顔が赤い。
私はいたずらな顔で、
「嬉しそ~。」
といえば、
「大人をからかうな~」
と怒られる。
先生はもう遅いからと言い、私を再び抱き上げて、病室まで連れて行ってくれた。
「今日はもう寝るんだよ。
それから、もっと食べないと……。軽すぎだよ。」
そう言いながら布団を掛ける。
そんな言葉を聞きながら、武田先生とお母さん、うまくいくといいなと思った。