そこにいた
恋わずらい
数日前のこと・・・・・・・。
「綾ちゃん、今日は亮先生がお休みだから、僕の診察ね。」
「お願いします。」
そういって、武田先生が聴診器を用意したので、私は何も言われずとも、服のボタンをはずした。
そして順調に診察を終えていく。
「綾ちゃん、今日は一日寂しいね。」
その言葉の意味が、私はすぐに飲み込めなかった。
「どういうことですか?」
「だって、亮先生は今日お休みなんだから。」
はい?
「ん?亮先生がどうして?」
「え?綾ちゃん、亮先生のこと好きなんじゃないのっ!!!」
「はいっ!?」
「あれ?僕はそう思ってたんだけど。
少なくとも、亮先生は綾ちゃんを好きだと思うよ。」
とさらっと言葉にした後、武田先生は、しまったというような顔をして、口を手で塞いだ。
どういうこと?
「よく言ってることがわかりませんが。」
「まぁ、今のは忘れて。あっ、でも、相談なら乗るよ。
僕も綾ちゃんに乗ってもらったんだからね。
それに、亮先生なら、大切な娘を任せられるけどね。」
「んなっ!?」
私は、その日一日、いやそれからずっと、武田先生の言葉が耳から離れなかった。