そこにいた
「綾~、どう調子は?」
ウキウキ気分のお母さんが、私の部屋に入ってきた。
私の移植手術の後は、入院費や検査費用しかいらないから、そこまで働かなくてもよくなったお母さんは、頻繁に来るようになった。
お母さんから武田先生の話を聞くことも増え、私の最近の胸のモヤモヤも話すようになっていた。
「まぁ、担当医だから、避けられない状況だよね。」
「これも全て武田先生のせいなんだから・・・・・・。」
「それは違うわよぉ。
剛さんは、あなたの気持ちを再確認してくれたんじゃないの?」
「えっ?」
「もともとあなたは亮先生に惹かれてたのよ。
それで剛さんの一言で好きだって確認したのよ。
綾子は亮先生と出会った時から、亮先生のことを好きだったのよ。」
「・・・・・・そうなのかな。」
「剛さんは言ってたわ。
綾ちゃん、亮先生には素直に話すって。」
「それは、追求されるからっ!!!」
「何でも話せちゃうんじゃないの?心を許せるんじゃないの?
まぁ亮先生は、あなたのこと興味あって、担当医にしてほしいって頼んだみたいだけど。」
「服部さんっ!?」