君とベッドで秘密事。
「今までレナのこと俺は何も知らなかったからさ。こういう風に話してくれるのすっげー嬉しい」
その言葉を聴き、顔を上げれば颯真はまるで子供のように笑っていた。純粋に嬉しそうに笑っているものだから、なんだかこっちが恥ずかしくなり目線を反らした。
「なにそれ」
「だって、俺が何を訊いても答えてくれなかったじゃん」
確かに、そうかもしれない。颯真は出会った時から私のことを知りたがった。それは、もちろん当たり前のこと。どこの誰か、何をして生活をしているのか。最低限のことは、誰だって知りたいと思う。
でも、私は適当に誤魔化していた。何となく、心のどこかに引け目のようなものがあった。言いたくなかった。自分がいる環境に対して同情してほしくなかった。
「まあ…」
突然、ぎゅっと頬を掴まれる。颯真の方を見れば
「俺が考えるにはね、恩返しなんて人それぞれなんだよ」
「え?」