鈍感な君へ
「…ん」





「…何か、何も出来ない自分が、
 苦労けることしか出来ない自分が…歯がゆいっ」






「…っ」




そう言うと硬く組んでいた手を
グッと皺を寄せる額に押し付けた







何て声をかけるべきなのだろう








下手に声をかけると傷つけてしまいそうで
――…怖かった






こんなに傍に居るのにやっぱり何も出来ない







ただ呆然と丸まってる晴樹の小さな背中を見つめることしか



出来ない…







嗚呼、何て無力何だろう






震える彼の背を抱きしめることも出来ないんだ





あらためて自分の立場が痛く感じた
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