鈍感な君へ
「お~いっ!彩奈置いてくぞ」






遠くから晴樹の声がした






「あ…、うん。今行く」






あたしは小走りに由紀の隣を
通り抜けようとした






「由紀…、ばい…」




「負けないから」




あたしの言葉は由紀によって
遮られた






「え?」







「あたんなんかに負けない。あたしは、あんたみたいな
 いい子ぶってる人が一番キライ」







少し潤んだ瞳で
でも鋭く睨まれた






でも、あっという間に
いつもの余裕の笑みに戻って





「ばいばい、彩奈」






そう言ってあたしの肩をポンと叩いた

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