鈍感な君へ
どれくらい時間が経ったのだろう

俺は立ち上がった



――遅いと怪しまれる

そう思い、俺は笑顔を貼り付けて
病室のドアを開けた




「あ、晴樹遅かったね」





彩奈が椅子から立ち上がる




「…あぁ、悪い」






「どうしたの?晴樹、顔色悪いみたいだけど」





ばあちゃんが心配そうに聞いてきた





「ほんとだ。大丈夫?」






「ああ。…てかばあちゃんに言われたくないよ」





笑って見せると


彩奈もばあちゃんも安心したように
クスクス笑った






―――…実感が沸かない


もうじきこの人が死ぬなんて




こうして目の前で笑っているのに、話しているのに





もう…あえなくなるなんて…


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