鈍感な君へ
「何でもないなら、
 そんな顔しないでよっ
 …んでっ、
 何かあるんだったら
 少しは頼ってよっ!
 あたし達、っともだち でしょ?」




俺、そんな酷い顔なんだろうか



潤んだ眼に睨まれて戸惑う





そして気付いたら話してた




「…ばあちゃん、よく分かんねぇんだけど
 ……、もうっダメだって」




――…口に出していってみると


とても虚しく、そして

何より悲しく感じた





「…ダメって、何が…?」



彩奈の大きな眼からは今にも



涙が溢れ出そうだった



きっと俺の言葉の意味は分かっているのだろう


だけど聞かずにはいられない気持ちが


痛いほど、よく分かる



「ねぇ…っはるき」



震えるその声に



不安そうなその顔に




俺まで泣きそうになり


慌てて眼を逸らす



「っ」


彩奈の前だと俺はいつだって
 弱 虫 なんだ



いつだって弱いトコばかり

みせてしまう 




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