鈍感な君へ
「待ちなさい」





鋭い眼に見つめられ
動けなくなった




「…生憎今日は、用がある」





そう言って腕を離す




「どこか店にでも入ろうか」





そう持ちかけてきたけど
俺は咄嗟に断る





「いいよ、ここで。…んで何?」





きっと俺が雨に濡れているのを
気にしてくれているんだろうが、
そんなことはどーでもよかった



――…こいつの顔なんて
長く見ていたくない






「そうか…。」



渋って話そうとしない
あの人に苛立ちが募る





「なんだよ、早く話せよ」





強めの口調で言う





「悪い…。」




「…」
< 134 / 150 >

この作品をシェア

pagetop