鈍感な君へ
「しかし、もう決ったことだ」




「断る。ばあちゃんがなんと言っても
 俺はここに残る」


強い口調で言うと



呆れた目が返ってきた




「…いい加減、あの人を苦しめるのを
 やめたらどうだ?」




「…」




「お前のために、
 縁も切った娘が置いていった
 子供のために
 朝から晩まで働いて、
 そんなことまでする必要が
 あの人にあるのか?」



あの人が言ったことは
紛れも無い事実だった





今更寒さを感じて震えだすからだ





「…っじゃあ何であんたは
 俺を引き取るんだよ…?」



あんたにも利益はないはずなのに…



「そんなの、お前が俺の
 息子だからに決ってるからじゃ
 ないか」





今更、虫が良すぎる




だけど俺は何も言い返せなかった






「まぁ、また会いに来るよ
 それまでにゆっくり考えろ」





そう言い残してあの人は去っていった
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