鈍感な君へ
熱いシャワーを浴びて
そそくさと部屋へと戻る



今は極力ばあちゃんに会いたくない




もし会ったら酷いことを
口走ってしまいそうだ




ドサッとベットに倒れこむ



裏切られたという気持ちと



苦しめていた事への罪悪感



矛盾している2つがぐるぐる回る





『…いい加減、あの人を苦しめるのを
 やめたらどうだ?』



痛いほど突き刺さったあの人の言葉




もう、ばあちゃんに迷惑はかけたくない



だけど、独りになるのは


―― 恐 い 




だから縛り付けてるんだ


苦しめてるんだ。ばあちゃんのこと



「っ」


溢れ出そうになる涙を腕で覆い
視界を閉ざす




どう考えたって、悪いのは
被害者はばあちゃんだった


なのに被害者ぶってた自分が
バカみたいに思えてきた




手放したくない、優しい空間



だけど、離すなら…今が潮時かもしれない




そのまま俺は意識を手放した
< 139 / 150 >

この作品をシェア

pagetop