鈍感な君へ
時計を見ると10時をさしていた





ばあちゃん、もう寝たかな…





腹も減ったことだし俺は下におりた



リビングからは少し明かりが漏れていた


俺はゆっくりと中に入った





ばあちゃんは机に両肘をついて

頭を抱える様にして俯いていた




俺が入って来たことに気付かない、

となると寝てるようだ





「ばあちゃん、風邪引くよ」





俺はトントンと肩を叩く



するとすぐにばあちゃんは目を覚ます




「ん、晴樹…。」




顔を上げたばあちゃんは何だか顔色が優れない




「…どうしたの?顔色、悪ぃよ」





「少し、頭が痛くてね」




「…そっか、寝るなら布団でねろよ」





このときはただの風邪か何かだろうと

さほど気にすることもなかった





――俺がもっと早く気がついていれば


あんなことにはならなかった…

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