鈍感な君へ
下校の時間



前を歩く見慣れた後姿があった






「お、彩奈?」





振り向いた彩奈は情けない顔をしていた





「やっぱ彩奈だった」





朝は避けてきたくせに、
やっぱり何かあるとこいつ
に頼ってしまうのかもしれない





彩奈の笑顔には何度も救われてきた






…でも今日は彩奈が何だか泣きそうで


泣かれるのも嫌だから必死に話題を作った


犬を引き取った話をしたら
見に来たいって言うかな


そんな想像をしていたのに…


何か上の空な感じ…




「彩奈?聞いてる?」





と問いかけると





「あ、ごめん…。何だっけ?」





と案の定聞いてなかった

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