鈍感な君へ
翌日の朝だった




リビングに制服に着替えてから
入ると、真剣な面持ちのばあちゃんがいて




俺に気付くと立ち上がって、近づいてきた




やっぱり顔色がよくないな、なんて
ボーっと考えていた




「晴樹…」



囁くようなばあちゃんの声

悲しそうな顔



何を言われるか大体想像はついた





「…あなたを、本当の親の元に
 返そうと思うの
 そのほうがきっとあなたも幸せになれるわ
 大丈夫。もうお父さんには言ってあるから
 今まで楽しかったわ、ありがとう」




俺に反論する間も与えずに一気に喋ったばあちゃん


でも、俺の心はとっくの昔に決っている





「…俺、あの人のとこ行くつもりないから」




「え…」




予想外の言葉だったのだろう

ばあちゃんはバッと顔をあげた



「ばあちゃんの傍を離れて幸せになれるわけがない」


俺はそう言いきった


「はる、き」



ばあちゃんはそう言ったかと思うと


急に体が傾いた
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