鈍感な君へ
病院から電話かかってきたとき
自分はびっくりするくらい冷静だった


だけど、タクシーに乗って病院に彩奈と
向かう途中

全ての景色が止まって見えた

音が何も聞こえなかった


ただ彩奈に握られた手が無意識に
小刻みに震えていた





―――覚悟は、出来てたはずだた…




「…手は尽くしたんですが…っ」



医者が目を伏せる




「あなたが来るのを待ってたのですよ」




医者越しに見えるばあちゃん





「これがおばあちゃんと過ごす最期の時間です」




そう言い残し医者は静かに頭を下げた






ふらふらとベットに近づく


近づくにつれて現実が見えてきて目眩がする




「…ばあちゃんっ」




思った以上に声が掠れた

何故か喉がカラカラに乾いている



布団の端から出てるばあちゃんの手を握る




「ばあちゃん…?」





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