鈍感な君へ
「彩奈って彼氏いたっけ?」


「いないよ~」


「まじか、だったら今度また皆で集まろうぜ」


「え…あ、いいね、いいね」


何か複雑な気分


遊べるのは嬉しいんだけど…っ


モテるからな、晴樹…


1年の頃からたまにやる夏限定の集まり?てか、飲み会はあたしの楽しみ


「よし、決まりね。女子のメンバーよろしく。適当でいいから」


「分かったよ、晴樹はイケメン連れてきてね」


「何で?彩奈には俺がいるじゃん」


冗談ぽく言う晴樹


ほらね、これが彼の癖。あたしの心をかき乱す


この関係以上になりたいと願うような…そんな言葉を囁いてくる


「ありえないから…」


ありえないから…晴樹はあたしを友達としか見ていない


だからそれ以上はありえない


「酷いなぁ。彩奈は」

「どっちがだよ…」


ぼそっと言った言葉


「ん?何…?」


「ん~。何でもないよ?」


作った笑顔を貼り付ける

「んっか。まぁいいや」


ほらね、気づかない

ばかばかばかばかばか


気づいてほしい、気づかないで…


矛盾した思いが駆け巡る



晴樹はモテるから、私なんて論外だろう


顔もかっこいいし、ノリも良い、見かけは軽そうだけど自称硬派だし。身長は低いけど…


それに比べてあたしはチビでばかで素直じゃない、意地っ張り、胸だってない


何のとりえもない、ただの色気0のチビ。女友達


それが晴樹の本音だろう



でもね……好きだよ、晴樹っ


世界で一番、大好き





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